ヴィオラ・ダ・ガンバについて


ヴィオラ・ダ・ガンバは、スペインで生まれ、ルネサンス~バロック期にヨーロッパ全土に普及した弓で弾く弦楽器です。

形はヴァイオリンやチェロに似ていますが、構造・調弦・奏法など多くの点で異なります。6本の弦とフレットのついた指板を持ったこの楽器の特徴をひとことで表せば、弓で弾くギターと言えるでしょう。音域の異なるいろいろなサイズの楽器がありますが、ヴァイオリンのように小さなサイズの楽器も、チェロのように脚の間にかまえて弾きます。ヴィオラ・ダ・ガンバ(脚のヴィオラ)という名前はそこからつきました。ガンバあるいはヴィオールと呼ばれることもあります。

音量や音の張りはヴァイオリン属に一歩譲りますが、柔軟でニュアンスに富み落ち着いた音は、当時の響きの理想によく合い、18世紀後半にヴァイオリン属に主役の座を明け渡すまで、長い間、弓奏弦楽器の代表選手として、独奏や合奏に活躍しました。
その後しばらく表舞台からは姿を消していましたが、古楽の復興にともない、多くの人々の努力により復活しました。現在世界中で多くのプロの演奏家が活躍しており、ヴィオラ・ダ・ガンバのための現代曲も多数作曲されています。

ヴィオラ・ダ・ガンバは、フレットを持っているため音程が取りやすく、アマチュアにも人気があります。コンソートと呼ばれる、サイズの異なった複数の楽器による合奏音楽には、弾くのがやさしくそれでいて音楽的に優れた曲が豊富にあり、たやすく合奏の楽しさを味わうことができます。

ヴィオラ・ダ・ガンバは、海を渡り日本にも伝わっていました。織田信長は、安土城下のセミナリオで、家臣の子弟の奏するコンソートに耳を傾けたということです。今日の日本でも、そのすばらしい響きが、多くの人々の心をひきつけています。

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